「税務行政」の 厳正さに期待

元札幌国税局長の浜田常吉容疑者が、税理士開業後の4年間に、総額7億3千万円の所得を隠し、2億5千万円の脱税容疑で逮捕された。
同容疑者は、国税局長の前には、職員の不正を取り締まる立場の首席監察官も歴任しているが、その倫理観の無さには、呆れてものも言えない。
我々サラリーマンは、収入は100%把握され、脱税の余地のないものとしては、憤懣やるかたない思いである。

この事件の発覚は、同容疑者が顧問税理士であったライジングプロダクションの脱税事件がきっかけのようであるが、それまでにどうして分からなかったのであろう。

企業などが顧問税理士などに顧問料を支払った場合、年間5万円を超えれば、支払調書を税務署に提出することが義務づけられている。
税務署は、各企業の支払調書を納税者ごとに集計すれば、同容疑者の申告内容と大幅に食い違うことは歴然としており、初年度から脱税していたことは容易に分かるはずである。
それを発見できなかったのは、税務署の職務怠慢であり、あるいは分かっていたのであれば、先輩に遠慮して手心を加えたのであろうか。そして、同容疑者もそれを見込んでの脱税行為だったのか。いずれにしても「何をか言わんや」である。

国家財政が逼迫する中、少しでも多くの税収が求められている環境下であり。法に則り今後とも厳正な税務行政を期待したい。

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